原画は1980年、画家72歳のときに描いた同名の日本画で 兼素洞で開催の第3回 白虹会に出品されたものです。 描かれた富士は内からわき上がるような自然の発露であり まるで記憶の中の風景のように、シンボリックなまでに昇華 されています。 海外を旅して戻る機内から、ふと窓の外を見ると、朝日を 受けた白雪の富士が雲間に浮かぶ……。この作品は、東山 画伯があらためて見る日本の風景に感動を覚え、我知らず 絵筆を取って描き上げたものでしょう。 タイトルのとおり、画伯にとって新たなはじまりを告げる 記念碑的な作品であると同時に、日本美術史上、他に類を 見ない富士の姿です。(野村証券蔵) |