版画基礎知識(メルマガ連載記事)

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         ★版画のHCとは...
         ★版画のPPとは...
         ★版画のAPとは...
         ★版画のEAとは...
         ★版画のTPとは...
         ★版画のEEとは...
         ★版画技法てなに?
         ★凸版画はどんな技法か?
         ★凹版画はどんな技法か?
         ★銅版画の各種技法
         ★平版画はどんな技法か?
         ★孔版画はどんな技法か?
         ★額縁用のフック位置決めの方法
         ★版画の保証書について
         ★版の形状からの区分に入らない技法
         ★ラッセンの版画技法
         ★カタログレゾネてなに?
         ★限定番号のCXCU/CCLとは...
         ★版画のサインにはどんな筆記具を?
         ★版画はどんな物に刷られるか
         ★版画を刷る洋紙は...
         ★海外オークション
         ★版元について...
         ★オリジナル版画について...
         ★版画の保存について...
         ★絵の値段ついて...




☆版画のHCとは...


  ★HCはフランス語でHors Commerceの略で、非売品という意味です。

  元々は版画の販売の為の見本用として作られた物でしたが、現在では通常限定番号
  以外で、販売元が余分に販売できる版画作品に付けられます。

  大体版画の通常限定の3%から10%ぐらい作られます。

  つまり限定200部の作品ですと5枚くらいから20枚くらい制作され販売される
  版画です。

  英語圏では それに類する言葉がないので、同様の作品をフランス語のままでHC
  と記載します。

  そして純粋に見本の為だけの作品にはSAMPLE(見本)と言うスタンプ等を押
  した物を使用します。

  通常限定も、HCも全く同じ刷りで版画の価値は変わりません。
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☆版画のPPとは...


  ★PPは英語のPrinter's Proofの略で、版画の刷り職人のための作品という意味
  です。

  元々は版画を作る工房の職人達の労をねぎらうために、版画の完成時にPPと記載
  して、その版画工房のメインの職人に贈られた物がその発祥ですが、現在ではその
  版画工房の会社自体に渡され、その工房の実績を残すためや、版画の刷り代の補助
  として、刷り工房に渡される版画を指します。

  山形博導や笹倉鉄平等一部の作家はそのPPにも限定番号を記載して、限定部数を
  管理しています。
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☆版画のAPとは...


  ★APとは、英語のArtist Proofの略で、版画の作家保存分という意味です。

  フランス語ではのepreuve d'artisteと呼びEAと表記します。

  元々は作家が自分の作品の資料として保存し、また他のアーティストや、お世話に
  なった人や美術館などに贈呈する為の作品でした。

  現代では、通常ナンバーと同様に版元が管理販売することが一般的になっています

  通常限定も、APも全く同じ刷りで版画の価値は変わりません。
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☆版画のTPとは...


  ★TPとは、英語のTrial Proofの略で、版画の試し刷りという意味です。

  フランス語ではEpreuve d'Essaiと呼び、EEと表記します。

  版画を刷るときに色の調子や、配色具合、作家によっては構図も含めて各種の試
  し刷りを制作します。

  TPは試し刷りですので、必ず最終の版画とは色や構図などが若干違っている場
  合が多いです。

  試し刷りの保存は作家がする場合と、版画の刷り工房が保存する場合があります

  作家が保存している場合は、死後に遺族に相続され、その場合は署名が入ってい
  ない事が多いです。

  版画の刷り工房が保存する場合は、作家がその版画の職人の労をねぎらうためや,
  刷り工房の資料用に,署名を入れて贈呈されることが多いです。

  現存作家の場合は現在見かけるTPは、その版画の刷り工房から出た物が殆どです
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☆版画のEAとは...


  ★EAとは、フランス語のepreuve d'artisteの略で、版画の作家保存分という
  意味です。

  英語ではArtist Proofと呼びAPと表記します。

  元々は作家が自分の作品の資料として保存し、また他のアーティストや、お世話
  になった人や美術館などに贈呈する為の作品でした。

  現代では、通常ナンバーと同様に版元が管理販売することが一般的になっています

  通常限定も、EAも全く同じ刷りで版画の価値は変わりません。
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☆版画のEEとは...


  ★EEとは、フランス語ではEpreuve d'Essai、の略で、版画の試し刷りという意
  味です。

  英語ではTrial Proofと呼び、TPと表記します。

  版画を刷るときに色の調子や、配色具合、作家によっては構図も含めて各種の試
  し刷りを制作します。

  TPは試し刷りですので、必ず最終の版画とは色や構図などが若干違っている場
  合が多いです。

  試し刷りの保存は作家がする場合と、版画の刷り工房が保存する場合があります。

  作家が保存している場合は、死後に遺族に相続され、その場合は署名が入ってい
  ない事が多いです。

  版画の刷り工房が保存する場合は、作家がその版画の職人の労をねぎらうためや,
  刷り工房の資料用に,署名を入れて贈呈されることが多いです。

  現存作家の場合は現在見かけるEEは、その版画の刷り工房から出た物が殆どです
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☆限定番号のCXCU/CCLとは...


  ★海外で使われる数字には2種類の表記方法があり、一つはアラビア数字で、
  もう一つはローマ数字です。

  日本でも一、二、三、四、五、六、十、百、千という漢字圏独特の数字表記の方
  法も使うように、海外ではアラビア数字、ローマ数字共に、一般的に使われます

  アラビア数字とは、我々が一番見慣れた1、2、3、4、5、6、7、8、9、
  10、50、100、500、1000と言う表記です。

  ローマ数字では、T、U、V、W、X、Y、Z、[、\、]、L、C、D、Mと
  表記します。

  ]は10、Lは50、Cは100、Dは500、Mは1000を表します。

  ...CXCUとは、いったいいくつでしょう?

  なれるまでは少し難しいかもしれませんが、ローマ数字もアラビア数字と同じく
  左端から見ていきます。

  CXCUとは C と XCU が組合わさった数字です。

  C は100で XCU は92です。

  この二つを合わせて192と言うことです。

  まとまった数X(5)、](10)、L(50)、C(100)の左側に書いた
  数字はそのまとまった数から引いた数がその数字となります。

  XCは90、XCは95、と言うように書きます。

  大体ローマ数字の限定番号を持つ版画は、アラビア数字の限定番号の版画も存在
  します。

  山形博導や笹倉鉄平では、アラビア数字の限定番号の版画をRegular Editionと
  呼び、ローマ数字の限定番号の版画をRoman Editionと呼び、殆どの作品にその
  両方が出版されます。

  ローマ数字の限定番号は、シャガールやビュッフェなどヨーロッパの作家の場
  合、EAやHCに付けられることが多いです。

  基本的には限定番号により作品の価値には差は有りません。
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☆版画技法にはどんな技法があるか?


  ★版画技法には大きく分けて凸版画、凹版画、平版画、孔版画とそのどれにも
  属さない技法、そして2つ以上の技法を併用している技法があります。

  凸版画には、木版画、リノカット、紙版画、スタンピング等が含まれます。

  凹版画は、主にエッチングやアクアチントなど銅版画全般を指します。

  平版画には、リトグラフ、オフセット、コロタイプ等が含まれます。

  孔版画には、シルクスクリーン、ステンシル、ミメオグラフが含まれます。

  その他の技法としましては、モノタイプ、ガラスステロ版、コラージュ、ハン
  ドメイドプリント、シバクローム、ジークレー版等があります。

  聞き慣れない技法も多いかと思いますが、次回から順にそれぞれの技法につき
  まして詳しく述べていきたいと思います。
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☆凸版画はどんな技法か?


  ★凸版画は木版画、リノカット、紙版画、スタンピング等の技法があります。

  木版画は文字通り木を彫って版を作り、その木の彫られていない部分にインクが
  乗り、それを紙に写し取る技法です。

  版画技法としては歴史が古く、現存している物で制作年のはっきりしている木版
  画は、敦煌で発見された木版本で869年(唐の咸通9年)作の刊記があります。
  日本では京都浄瑠璃寺の阿弥陀像体内から発見された木版画「阿弥陀如来像」
  が1047(永承2年)年作と確認されています。

  木版画はフランス語では gravure sur bois と表記し、
  英語では woodcutと表記します。

  フランス語の gravure とは彫って作る版画全般を指します。
  (銅版画、木版画共に gravure です)

  木版画の技法には板目木版と木口木版とがあります。

  板目木版は最も一般的な木版画技法で、木の幹を縦に切り、木目が水平に出るよ
  うに挽いた木の板を彫って版木とします。

  浮世絵等もこの板目木版で、色の数だけ版木を作り刷り重ねて、多色刷りの版画
  が作られます。
  (一つの版に2色以上の色を乗せることも可能なので、その場合は版木の数は色
  数より少なくて済みます。)

  板目木版で有名な作家は、日本では浮世絵以外で棟方志功がいます。

  棟方志功自身は板画と呼び、色は版画の裏より手彩色で着彩しています。

  世界的にはエドワルド・ムンク、ワリシー・カンディンスキー等の作家がすばら
  しい木版画を残しています。 

  木口木版は堅い木の幹を輪切りにして、その中心部の堅い部分を使って、版木を
  作ります。

  糸の様な細かい線を描くことが可能なので、細密描写の作品に向くき、あまり大
  きな作品でなく、書籍の挿し絵や蔵書票として発達しました。

  木口版画はフランス語では gravure sur bois de boutと表記します。 

  リノカットはリノリュームという床材によく用いられる樹脂の板を木版画と同じ
  ように彫って版を作ります。

  リノリュームは木よりも柔らかいので、あまり力を必要としません。

  リノカットで有名な作家はピカソで、多数のカラーリノカットの名品を残してい
  ます。

  紙版画は幼稚園や、小学校でよく使われる紙を貼って作る版画で、スタンピング
  は、言葉の通りスタンプで作る版画で、現在美術品としては、ほとんど使われる
  技法ではありません。
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☆凹版画はどんな技法か?


  ★凹版画は主に銅版画全般を指します。

  銅版画は引っ掻いたり、腐食させて、銅板に溝を作り、その銅板にインクを塗り、
  その後に布などで、溝に詰まったインク以外のインクを拭き取り、それを紙に写
  し取る技法です。

  版画技法としては木版画に次いで歴史が古く,1645年には,アブラハム・ボス
  による、「銅版画技法論」という小冊子が刊行されています。

  この小冊子は、銅版画に関する最初の教本で、銅版画の制作手順や作家の製作
  態度にまで言及した書物で、アブラハム・ボスの死後も19世紀に至るまで、広
  く、多くの版画家達に愛読されました。

  銅版画はフランス語では gravre sur cuivreと表記し、
  英語では copperplate printと表記します。

  フランス語の gravure とは彫って作る版画全般を指します。
  (銅版画、木版画共に gravure です)

  銅版画はその版の制作方法により次のような技法に分かれます。

  エッチング(eau-forte[仏],eching[英])

  ドライポイント(pointe-seche[仏],drypoint[英])

  エングレービング(burin[仏],engraving[英])

  アクアチント(aquatinte[仏],aquatint[英])

  メゾチント(maniere noir[仏],mezzotint[英])

  カーボランダム(carborundum[仏][英])

  シュガー・アクアチント(sugar aquatint[英])

  ルーレット(roulette[英])

  ソフト・グランド・エッチング(vernis mou[仏],soft ground eching[英])

  エリオグラビュール(heliogravure[仏],photoengraving[英])

  多くの作家が上記の技法を複数使用して銅版画を制作しました。

  日本ではよく銅版画全般の事をエッチングと思っている人も多いのですが、
  エッチングは銅版画技法の中の一技法です。
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☆銅版画の各種技法


  ★エッチング(eau-forte[仏],eching[英])

  腐食銅版画の代表的技法で、銅版にグランドと言う耐酸性のニスを塗り、その
  グラウンド液が乾いたところで、鉄筆等で引っ掻き、乾いたグラウンド液を剥
  がし、その銅版を硝酸に浸して、鉄筆で引っ掻いた部分だけを腐食させ、溝を
  作り、その溝にインクを詰め、紙に写し取る技法。

  銅版としては一番強い版で200枚以上の版画を刷ることが可能です。

  大体500枚〜600枚が良好な状態で刷れる枚数の限界です。

  その描線は均一でドライポイントやエングレービング等よりやや弱い線となる

  ★ドライポイント(pointe-seche[仏],drypoint[英])

  鋼鉄針等で直接、銅版に刻描して、溝を掘る技法。

  彫った線がささくれ立つため、そのささくれがインクのにじみを作るため、
  描線に強弱が付き、力強い描線となる。

  そのささくれが摩耗し易いため、そのままでは、50枚ほど刷ると、ささくれの
  摩耗により、その強弱の調子が弱くなってしまうのであまり枚数が刷れません。

  50枚以上ドライポイントを刷る場合は、メッキして版を強くしてから刷るのが
  通例です。

  メッキするとささくれがメッキで覆われてしまい、メッキ前よりも、強弱の調子
  が弱まります。

  メッキした状態で500枚〜600枚が良好な状態で刷れる枚数の限界です。

  ★エングレービング(burin[仏],engraving[英])

  ドライポイントと同様に銅版に直接、刻描して、溝を掘る技法ですが、ビュラン
  と言う特殊な刃で版に刻描するため、ドライポイントのようなささくれは出来ま
  せんが、溝の深さは他の技法に比べて一番深いために、刷り上がりのインク
  が一番盛り上がります。

  インクの盛りが多いために画面のメリハリが効き、強い調子が出せます。
  刷り可能枚数はだいたいエッチングと同じくらいです。

  同じ銅版画の技法でも、その線の効果を比較してみると、その奥が深いです。

  ★アクアチント(aquatinte[仏],aquatint[英])

  柔らかいハーフトーンの調子を出すための、腐食銅版画技法で、松ヤニの細かい
  粉末を使用します。

  松ヤニ粉末を銅版の上に、ケーキに粉砂糖を振りかける様に散らし、それを加熱
  すると、松ヤニが銅版に定着します。

  その上からグランド(耐酸性のニス)を塗ると、松ヤニの部分だけグランド液が
  銅版に塗られず。

  それを硝酸に浸すと、松ヤニは溶け、松ヤニ粉末の付いた部分だけが、腐食して
  銅版に穴が開き、インクが乗ります。

  手で引いた線とは違い、微妙なハーフトーンを表見する事が出来ます。

  ★シュガー・アクアチント(sugar aquatint[英])

  アラビアゴムを混ぜた砂糖の飽和溶液を筆に付け、銅版に直接、絵や線や面を描
  き、その上からグランド液を塗って乾かします。

  そして、その銅版をぬるま湯につけると、筆で書いた部分が膨張して、グランド
  液が持ち上げられ、その部分だけグランド液が塗られていない空洞が出来ます。

  それを硝酸に浸すと、筆で描いた、砂糖溶液の付いた空洞部分だけ、硝酸に溶け
  銅版に銅版に穴が開き、インクが乗ります。

  筆で書いた跡そのままのタッチが銅版画で表現できます。

  ★メゾチント(maniere noir[仏],mezzotint[英])

  18世紀までは挿し絵や写真的図版の為の職人的技法としてのみ利用され、芸術
  的版画技法としては発展してこなかた技法でしたが、20世紀に入り、長谷川潔
  が、試行錯誤を重ね、「ビロードの漆黒の画面」と呼ばれるほどの美しい黒の表
  現を完成させました。

  ベルソー(英語ではロッカー)と呼ばれる彫刀で、銅版全体に均等なささくれ傷
  をくまなく付けます。

  この状態では、インクを乗せて刷ると、真っ黒く刷り上がります。

  そして、そのささくれを彫刀で削り取るように彫っていくと、そのささくれが、
  とれた部分だけインクが乗らずに白くなります。

  つまり黒い画面を白く彫っていく技法です。

  版の強さとしては最も弱く、50枚〜80枚が刷り部数の限界といえます。

  長谷川潔のメゾチントは、刷り上がりの紙の表面が銅版のささくれを拾いまさに
  ビロードの様になっているため、版画の染み落としなどの修復がかなり困難です
  ので、保存に特に注意が必要です。

  ★ルーレット(roulette[英])

  ルーレットはヤスリ状の小さいローラーが先端に付いている道具を使い、他の技
  法と混用して製版して、複雑な諧調を作り出す技法です。

  池田満寿夫が初期の銅版画によく利用しました。

  ★ソフト・グランド・エッチング(vernis mou[仏],soft ground eching[英])

  18世紀から利用されてきた技法で、クレヨンとか鉛筆での線描の効果を感じさ
  せる技法として、アクアチントと併用される特殊な版画技法の1つとして知られ
  ています。

  ソフトグランドエッチングは文字通り柔らかいグランド液を使う技法のことで、
  柔らかいグランドを引いた銅版は直接、触れると形が残ります。

  その性質を利用して、布や枯葉などを置いてプレスするとそれらの凹凸の形が版
  面に残ります。

  それを腐食させて版を作ると布や枯葉の凹凸の形そのままに、版画にすることが
  出来ます。

  一般的には転写の方法をとって製版する事が多く、その方法は、まずグランド
  を引いた銅版の上に紙を置き、その上から、鉛筆や、木製ペンで絵を描くと、そ
  の絵を描いた所のグランドだけが紙にくっつき、銅版から剥がれ、銅の部分が露
  出します。

  その版を腐食すると、鉛筆や木製ペンで描いたグランドが剥げた部分だけが腐食
  され、鉛筆や木製ペンで描いた通りの版ができあがります。

  ★エリオグラビュール(heliogravure[仏],photoengraving[英])

  写真製版銅版画とも呼ばれ、銅版に感光剤を塗り、写真を焼き付けるように写真
  のネガフィルムを感光剤を塗った銅版に焼き付け、それを腐食させて、写真と同
  じ図柄の銅版を作ります。

  エリオグラビュールのみで制作された銅版画は、線の強弱が無いために、全体的
  に平面的な弱い印象を与えます。

  しかしながら、ルオーはその殆ど銅版画の制作にまずエリオグラビュールで第一
  段階の工程を行い、その上からアクアチントやエッチングで製版作業を進め、見
  事な銅版画を制作しています。

  フランス語で読まないHを読んでヘリオグラビュールとよばれることもあります。
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☆平版画はどんな技法か?


  平版画にはリトグラフ、オフセット、コロタイプ等の技法があります。

  基本的にはどの技法もリトグラフの技法を工業的に大量に印刷する為に改良され
  た技法で、そららの技法はリトグラフの応用と言えます。

  ★リトグラフ(石版画)(lithographie[仏],lithograph[英])

  リトグラフは発見者や年代がはっきりしている、一番新しい技法です。

  発見者はドイツ人のアロイス・ゼネフェルダー(1771〜1834)で彼は1796年に
  偶然から最初の原理を考えつき、1798年にリトグラフ技法を完成させました。

  リトグラフの原理は水と油が反発しあう性質を利用してする版画技法です。

  リトグラフを制作するには表面に無数の小さな穴のある石灰石版を利用します。
  (現在では亜鉛版やアルミ板が使われますが、違いは後述します)

  まず、石灰石版に油性のクレヨンやインクで直接図版を描きます。

  その上から水性のアラビアゴム液をかけると、油性のクレヨン等で描かれた部分
  は、はじかれて、クレヨンで描かれていない部分にだけアラビアゴム液が載りま
  す。

  その後乾いた後にプリントクリーナーでクレヨンを落とします。

  アラビアゴム液には硝酸を混ぜ、硝酸ゴムとします。

  クレヨンの脂肪酸は硝酸により分解して、石の炭酸カルシウムと反応して脂肪酸
  カルシウムとなり、親油性の皮膜を作ります。

  そしてアラビアゴム膜も水で落とします。

  表面のアラビアゴム液を落としても既にアラビアゴム液の載っていた石灰石の
  表面は、アラビアゴムのアラビン酸の化学作用により親水性の酸化皮膜を作られ
  ています。

  これで石灰石版の上にはクレヨンで描いた親油性の部分とそれ以外の親水性の部
  分ができます。

  その版に油性のリトグラフのインクをローラで載せると、親油性の部分だけにイ
  ンクが載り、紙に移すと、描いたと同じ図柄が、紙に移ります。
  (左右が反転した図柄となります)

  左右反転しないように転写紙に描き、それを版に乗せ、写し取る技法のもあります

  ★リトグラフ−版の違いによる表現の違い

  石版(暗灰色)・硬度が高く。脂肪への反応は良くないが、緻密で、彫刻石版、
          線描に適している。

  石版(明灰色)・硬度は中程度で、石版画に最も適した品質。強いエッチ液に
          耐えられ、調子の階調も充分に表現でき、多量の刷りにも
          耐える。

  石版(淡黄色)・硬度は低く、柔らかい石ほど脂肪への反応が良いので、かな
          りの階調を表すことが出来る。

          多量に刷ると描線が太りやすく、スクラッチによる白線も少
         しシャープさに欠けます。

  亜鉛版・・・・・石灰石版の様に多孔質で無いため、保水部分を作るために表
          面を研磨し、細かい砂目を立てる処理を行います。
          現在はアルミ版に取って代わられ、あまり使われませんが、
          脂肪に対する反応が非常に良いため、描画の時の解墨の調子
          が、刷り上がると単一になりやすいが、クレヨンでの描画は、
          抵抗感があって描きやすく、デリケートでソフトな描画が出
          来ます。

  アルミ版・・・・金属版は亜鉛版も含めて、石の様に多孔質で無いため、必ず
          砂目立てをします。

          砂目立てにより、クレヨンや解墨の描画が出来ます。

          表面の凸凹によって薬液の化学作用を促進し、版面の保水性
          も良くなり、インク盛りによる版の汚れやつぶれを防ぎます。
          アルミ版は亜鉛版より版の潰れが少なく、多数の刷りにも耐
          えられます。

          脂肪に対する反応が石版より強いため、解墨での描画が亜鉛
          版同様に単調になりやすい。

  ★オフセット印刷

  オフセット印刷は、手刷りのリトグラフと同じ科学的原理により製版しますが、
  リトグラフは版面から直接紙に刷り取りますが、オフセット印刷はインクを版
  から円柱形のゴム・ブランケットに一度転写して、そのゴム・ブランケットか
  ら紙に刷り取ります。

  この方法により連続して大量な印刷が可能になりました。
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☆孔版画はどんな技法か?


  孔版画とは、版自体に孔が開いていて、その版を紙の上に置き、その上から絵
  の具を乗せると、孔の開いた部分のみ絵の具が、版の下の紙に移る技法です。

  孔版画には、シルクスクリーン、ステンシル、ミメオグラフ(謄写版)等の技
  法があります。

  ★シルクスクリーン

  枠に張った絹やナイロンなどのフィルムに感光剤などで図版を謄写します。

  直接絹や、ナイロンにマスキングの塗料を塗り制作することもあります。

  ハーフトーン(ぼかし)を表現する事が出来ないので、メリハリの利いた作品
  に向く技法です。

  一版で一色しか表現できないため、色の階調を表現するためには、多数の版で
  何回も刷る必要があるので、版数が多数必要で、リトグラフや銅版画より一般
  的にはコストが掛かります。

   (山形博導や笹倉鉄平の場合ですと、大体1つのシルクスクリーンを制作す
  るために、50〜100の違う色版を重ねて刷ります)

  リトグラフや銅版画は絵の具が紙の中に染み込んで、作品となりますが、シル
  クスクリーンは絵の具が紙の上に乗っている状態で作品となっているため、湿
  気などにより波打ちする事が多く、丸めたりすると絵の具が剥離する事もある
  ので、輸送、保存には注意が必要です。

  シルクスクリーンでは、シルクスクリーンのアクリル系の絵の具と紙の湿度や
  温度による収縮率が違うため、紙の中に絵の具が染み込んでいる、銅版画やリ
  トグラフより波打ちしやすいです。

  ★ステンシル(合羽版)(pochoir[仏],stencil[英])

  技法的には日本では伝統的に着物や布地の型染めに使用される技法で、切り抜
  いた型紙の上から絵の具を塗り、型紙の切り抜いた部分がその切り抜いた形の
  まま、下の紙に絵の具が転写されます。

  海外の作家の作品ではマチスの挿画本「ジャズ」がこの技法で制作されました。

  そのほかミロなども初期にこの技法の名品を残しています。

  表現方法としては色面で作品が構成されるため、単純な形で表現される抽象画
  やデザイン的な作品に有効な技法です。

  一見木版画とも似ていますが、木版画は圧力と水分で紙の中に絵の具を染み込
  ませますが、ステンシルの場合は絵の具を紙の上に載せる形となるため、発色
  は、木版画より鮮やかです。

  ステンシルはシルクスクリーンと同様に圧力を掛けて紙に染み込ませる技法で
  無いため、紙を曲げたり、折ったりすると、亀裂や割れ、剥離を生じますので
  その保存には注意が必要です。

  ★ミメオグラフ(謄写版)(polycopie[仏],mimeograph[英])

  蝋紙に鉄筆などで穴をあけ、下の紙にローラーで転写する技法。

  技法的にはいわゆる昔のコピーとも言えるガリ版刷りがミメオグラフにあたり
  ます。

  版画技法としてはあまり利用される技法ではありませんが、日本では、福井良
  之助がミメオグラフを作品の域まで高めた作家として有名です。
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☆版の形状からの区分の範疇に入らない技法


  版の形状からの区分の範疇に入らない技法としては

  モノタイプ、ガラス・ステロ版、コラージュ、ハンドメイドプリント、ミックスメ
  ディア、ジークレー、シバクローム、手彩色等があります。

  それぞれの技法につきまして順に説明していきます。

  ★モノタイプ(monotype[仏][英])

  技法的には2種類のモノタイプが存在します。

  伝統的なモノタイプとしましてはガラスに絵の具で絵を描いてそれを紙に写し取
  る技法で、モネなど印象派の画家達が使った技法で、版画と言っても、出来上が
  る版画は1枚から3枚程度で更に加筆をすることもあるため、版画と言うよりは
  一点物の油絵や水彩画に近いといえます。

  しかしながら、オークションでは版画の範疇で競売されます。

  現代アートの作家では版画に手彩色を全面に施した作品をモノタイプと呼び前者
  のモノタイプとは技法的に全く違います。

  この場合は似たモノタイプが50部や100部出来ます。

  ★ガラス・ステロ版(cliches-verre[仏])

  バロビゾン派の作家が作品を制作したのみで、一般的な版画技法にはなりません
  でしたが、ミレーやコローが版画として製作している技法です。

  黒色乳剤で黒く皮膜を被せたガラス板にペンや鉄筆で描き、その黒色の皮膜を剥
  がし、それを写真のように感光紙に写し、制作する技法。

  つまり手書きのネガフィルムを作りそれを紙に焼き付ける技法です。

  ★ジクレー(giclee[英])

  最新のデジタルカメラとスキャナー技術を駆使して作成される版画。

  アイリス工房で制作されるジクレー版画はアイリス(IRIS)と呼ばれる。

  ジクレー専用のインクジェットプリンターから大きさ15ミクロンのシアン、
  マジェンタ、黄色、黒色の4色の粒子が吹き付けられ制作されます。

  だいたい一枚の大判のジクレー版画には数十億粒以上のインク粒子が吹き付け
  られます。

  水性のインクを使用するために通常表面は乾燥した感じに仕上がり、見た感じは
  リトグラフに近い感じになりますすが、その上からシルクスクリーンで透明ニス
  をかける場合はシルクスクリーンの様な仕上がりになります。

  ジクリーと呼ばれることもあります。

  ★シバクローム(chibachrome(英))

  通常の写真の現像方法は「発色現像法」とよび、科学変化により、元々色のない
  媒体の上に必要な部分だけ色を発色指させる技法です。

  シバクロームは「銀染料漂白法」と呼ばれる技法で、アゾ染料により色彩を形成
  する技法です。

  「銀染料漂白法」とは、もともと媒体が持つ色を漂白により除去して必要な色だ
  けを残す写真技法です。

  通常の「発色現像法」のプリントは化学変化した色が経年より、色あせするため
  美術品の色彩を保存する方法としては耐久性に問題がありました。

  「銀染料漂白法」のシバクロームは元々ある色彩の中で不必要な色彩のみを除く
  方法のため、色彩自身の耐久性は強く、経年しても、その透明感や色が損なわれ
  ないため、耐久性を要求される版画技法として近年よく使われる技法となってい
  ます。

  元になる「アゾ染料」は、衣料の染め付けに用いられるほどの耐久性を持ち、透
  明感や彩度に優れた染料です。

  チバクローム、イルフォクロームとも呼ばれます。

  ★ミックスドメディア(mixmed media(英))

  訳すと混合技法と言う意味で、以前は油絵の具と水彩絵の具の両方を使用した、
  作品の事を通常指す言葉でしたが、ラッセンの技法をミックスドメディアと呼ぶ
  ようになってから、版画でもいくつかの技法を併用して制作された作品をミック
  スドメディアと呼ぶようになりました。

  ラッセンの場合のミックスドメディアは6〜7色の写真製版オフセットにシルク
  スクリーン技法で透明なニスを何回かかけて、立体感を出しています。

  つまり写真製版オフセットとシルクスクリーンの混合技法と言うことです。

  ラッセンのミックスドメディアの技法のバリエーションとしましてアータグラフ
  とキャンバスエディションがあります。

  アータグラフとは紙でなく、キャンバスにミックスドメディア技法で刷った物を
  指し、そしてキャンバスエディションはそのアータグラフに一点一点アクリル絵
  の具で手彩色した作品をキャンバスエディションと呼んでいます。

  ★ハンドメイドプリント(handmade-print[英])

  デビッド・ホックニーが制作したカラーコピーを使った版画。

  ラウシェンバーグは同様にコピーで制作した作品をゼロックスと呼んでいる。

  類似の技法としては、ラウシェンバーグ等はコンセプチャルアート(概念芸術)
  として、ファックスを利用した作品も制作している。

  ★コラージュ(collage[仏][英])

  コラージュとはフランス語で張り付けを意味し、布や紙を貼り付けた作品をコラ
  ージュといいます。

  作品としてはパブロ・ピカソやジョルジュ・ブラックがキュビズムの一つの表現
  方法としてパピエコレと呼ばれる、新聞や、包装紙、布を作品に張り付けたのが
  始まりとなります。

  コラージュを利用した版画はファン・ミロ、アノトニー・クラーヴェ、タピエス
  等により制作されています。
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☆ラッセンの版画技法


  ★ラッセンの版画技法

  ・ミックスドメディア
  ・アータグラフ
  ・ラッセングラフ
  ・キャンバスエディション

  ○ミックスドメディア
  アート紙にオフセット印刷したものの上に透明なニスをシルクスクリーンを
  刷り、立体感と光沢を出した版画

  ○アータグラフ
  キャンバスに原画から型どりした樹脂を貼り付け、その上からオフセット印刷
  したフィルムを貼り付け、その上からニスをかけた作品

  最初に作られたアータグラフは、「マザーズラブ」「ラハイナスターライト1」
  で、いずれも技法が確立していなかったため、その多くの作品の表面のニス層に
  にひび割れを生じてしまいました。

  ○ラッセングラフ
  1990年代半ばからミックスドメディアに変わって制作され始めた技法です。
  ミックスドメディアのオフセット印刷技法の退色しやすい欠点を補うため、ジク
  レー技法を使用した版画です。
  ラッセングラフはアクリル板にジクレー技法で絵を刷り、その上に紫外線防止の
  フィルムを貼り付け、その上から、ハイライト部分に手作業で色を付けた作品です

  ○キャンバスエディション
  キャンバスエディションとは日本での呼び名で、ラッセンギャラリーではアイリス
  ・オン・キャンバスと呼ばれる技法です。

  キャンバスエディションもラッセングラフと同様に1990年代半ばから、同様に
  キャンバスに刷ったアータブラフに変わるものとして製作されました。

  アイリス・オン・キャンバスとはキャンバスにジクレー技法で刷り、それに手彩色
  を加えた作品です。

  ジクレーとは、フランス語で吹き付けて色を付ける≠ニいう意味で、リトグラフ
  やシルクスクリーン版画と違い、版を用いずに刷り上げるのが特徴です。
  具体的には、デジタルデータをキャンバスや版画用紙、高級写真用紙や和紙、立体
  など、色々な素材に、高精細で広色域の高い保存性の顔料プリントを施します。

  アイリスとはIRIS社が1980年代に開発したIRISという名のプリンターの名前に起因
  します。
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版画基礎知識no24
☆版画のサインにはどんな筆記用具を用いられるか



  ★最も一般的には署名は鉛筆でされます。

  作家が版画に署名を入れ始めたのは19世紀の終わりからで、それまでは版画には
  署名は入れられませんでした。

  署名が入るのは特別友人知人に贈呈した際に献辞と一緒に名前が書き入れられるに
  過ぎませんでした。

  有名な作家で版画に署名を入れ始めたのはマリー・カサットMary Cassatt(1844-19
  26アメリカ)で1870年代からの事です。

  その後1880年代からジェームス・アンソールJames Ensor(1860-1949ベルギー)
  が全ての版画に署名を入れるように
  なりました。

  当時から署名は鉛筆で入れられていました。

  その他の筆記用具が使われる例は次の通りです。

  ○ペンサイン

  ・ピカソ「知られざる傑作」シリーズ

  ・シャガール「屏風」

  ・ルオーはエッチングには主にペンでサインしています。

    ペンサインは黒インクのケースと青インクのケースがありますが、青インクでサ
    インされた場合、退色で月日が経つと自然に薄くなってしまいます。

  ○ボールペンサイン

  ・ビュッフェ「サーカス」シリーズ

  ・ウォーホール「リズ」他多数

  ○金ペンサイン

  ・ラッセン(キャンバスに刷った版画、ミックスドメディアの一部)

  ・天野喜孝(シバクローム)

  ・シムシメール(キャンバスに刷った版画、ミックスドメディアの一部)

  ・アルフォーグ

  ・アイベン・アール
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☆版画はどんな物に刷られるか


  ★通常版画は紙に刷られます。

  刷られらた紙により若干色の発色などが変わります。

  刷られる紙は大きく分けると洋紙、羊皮紙、和紙、中国紙等に分かれます。

  版画用紙としましてはフランスの洋紙がよく使用され、和紙や羊皮紙、中国紙はHC
  や特装版に使われるケースが多いです。

  通常版画に使われる和紙はフランス和紙(japon)と言う表面がきらきらとした
  紙を使われることが多いです。

  和紙の中でもじんちょうげを原料にする雁皮紙は非常に薄く、強いため版画の細かい
  ニュアンスを版から拾えるため、色々な画家が利用しました。

  有名な作家ではオデイロン・ルドン、藤田嗣児などが雁皮紙刷りの名品を残していま
  す。

  雁皮紙は薄いために通常、刷った後に他の洋紙や和紙に貼られて保存されます。 

  中国紙は藁半紙似た色合いの紙で、エコールド・パリの画家のマリー・ローランサン
  や藤田嗣治などが版画に利用していますが、あまり一般的ではありません。

  羊皮紙は教会用の本や楽譜として利用されてきましたが、近現代版画ではの特装版と
  して利用されています。
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☆版画を刷る洋紙はどんなものがあるか。


  版画に利用される洋紙は比較的高価な紙が多く、フランスの洋紙が利用されます。

  フランス洋紙でよく利用される紙はアルシュ紙(Arches)ですが、その他、リーブ紙
  (Rives)、リシャール・ドゥ・バ紙(Richard de Bas)、やムーラン・ドゥ・ゲ
  (Moulin du Gue)などいろいろなフランス紙が版画には利用されています。

  アルシュ紙は水のしみこみも良くしなやかでリトグラフには最も向いた紙といえるか
  もしれません。

  エッチングには紙がやや堅いリーブ紙の方が向いているかもしれません。

  刷られる紙により同じ版画でも若干、版画の印象が変わります。

  紙の違いは実際に比べて触ってみないとわからないほど微妙ですが、その版画の作者
  の意図や配慮が分かりますので、機会がありましたら、比較してみられると良いかと
  思います。

  フランス洋紙以外では若干茶色のオランダのヴァン・ゲルダー紙(van Gelder)が版画
  用紙としては有名です。

  ウォーホールやリキテンシュタイン等の現代作家や山形博導やラッセンなどの現代の
  インテリア作家ではアート紙が版画用紙としては主流になっています。
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☆カタログレゾネてなに?


  カタログレゾネとは、全作品資料の載っている画集の事です。

  有名作家の油絵や版画等の研究などのために、作られる画集で発行部数もそれほど
  多くないこともあり、高額なカタログレゾネも存在します。

  通常油絵のカタログレゾネはその研究者の名前で**のカタログなどと呼ばれます

  ルノワールの油絵は、ルノワールの研究、鑑定家のフランソワ・ドルトの名前を冠
  して通常ドルトのカタログと呼ばれ、その掲載作品はドルトの何巻の何ページ掲載
  ということでその真性を確認します。

  現在、ドルトのルノワールのカタログレゾネは全巻揃いでオークションでも300
  万円以上します。

  版画のカタログレゾネの場合は通常作家名で**のレゾネとゆうように呼ばれ、
  油絵ほどは高価ではないですが、数十万するものも少なくありません。

  たとえばビュッフェのレゾネはリトグラフ2巻と銅版画で合計20万円ほどします
  しミロの場合はリトグラフ6巻、銅版画4巻、ポスター1巻、挿画本1巻の全12
  巻で35万円ほどします。

  業者間ではこのカタログナンバーで作品を特定して取引する事も多いです。

  ただラッセン、シムシメール等の作家はカタログレゾネが作られていません。

  ただ注意しなければいけないのは、どのカタログレゾネも殆どは正しい資料が記載
  されていますが、時に間違いや、誤植もあり、お手持ちの作品がレゾネの記載と違
  う場合は、詳しい業者に確認をとることをお勧めします。
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☆海外オークション


  海外の有名オークション会社にはサザビーズとクリスティーズがあります。

  どちらの会社の名前もバブル期に日本人が100億円以上の絵画の落札で一般の人
  にも知られることとなりました。

  一般的に海外オークションでの価格は一般の業者価格よりも低いことがしばしばあ
  ります。

  業者も海外オークションを利用するケースがあり、オークションでは業者も一般の
  人も入り乱れて入札するため、レアなものは高額で、割と出品が多い物は低めで落
  札されるのが常です。

  オークションに参加しようと思ったら、まずすることがオークション会社からカタ
  ログを買うことから始まります。

  カタログを買う際に顧客登録する事になります。

  カタログは大体一種類年間で2〜3万円で、版画の場合ですと、5〜6種類あり、
  年間10〜12万円がカタログ代となります。

  オークションは通常英語にて状態記載があり、その代表的な用語は下記のようにな
  ります。

  ●しみ・汚れ関係
    stain: しみ
    soiling: 汚れ
    foxing: 斑点(かびシミ)
    remains of tape: テープ跡
    glue stain: 糊じみ
    mat stain:  マット跡(マット焼け)
    hinge stain: ヒンジ跡

  ●傷関係
    scratch: ひっかき傷
    crease: 折れ、しわ
    tear: 裂け目
    rubbed: 擦り傷
    scuff: 擦り傷
    abration: 擦り傷
    skinned: 剥離
    pressure marks: 押し跡
    micks: 切れ口

  ●変色関係
    discoloration: 変色
    time staining: 経年による変色
    faded: 退色
    light stain: 日焼け
    sarkening: くすみ

  オークションで注意が必要なのは必ずしも全て詳しく正しい記載がしてあるとは限
  らないと言うことです。

  そしてキャンセルは出来ませんので、高額な作品の場合はかなりのリスクがあり、
  本当に高額な作品の場合は実際現地に行って現物を確認する必要があります。

  過去弊社でもオークション記載がほぼ良好の版画で落札後、実際到着してみたら見
  に版画が破れていて全く売り物にならないというケースもありました。

  頻繁に落札する業者の場合は大量に買い付けのため実際現地に行って落札するのが
  普通です。

サザビーズ・ウエッブサイト

クリスティーズ・ウエッブサイト
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☆版元について


  版画を制作するところをPrinter(刷元)とよび、版画を企画販売する元会社は
  Publisher(版元)と呼びます。

  今世紀に入るまでは、本でなく純粋な版画はレンブラント、デューラーなどの画家
  は自分で刷り、自分で販売していて、版画の版元や刷元はありませんでした。

  ただ単独の版画でなく、本として版画を添付した挿画本は、他の出版物と同様に印
  刷所があり、出版社が発行していました。

  画廊の企画としての版画の制作を最初に始めた中で、有名なのは、アンボワーズ・
  ヴォラールです。

  ヴォラールはルノアールを手始めにセザンヌやゴーギャンの代理人として大画商と
  なりました。

  そして画商ボラールは、画家に版画を制作依頼し、たくさんの名品の挿画本を出版
  しました。

  そして挿画本だけでなく版画集という形でも版画の出版を始めた。

  有名な版画集はピカソのボラールスイートです。

  ヴォラールは早くからピカソの才能を見抜き1901年にはピカソの初個展を開催
  しました。

  1927年には100枚の銅版画からなる版画集ヴォラールスゥートの製作を依頼
  しました。

  しかしながらヴォラールはその完成を見ずして1939年他界しました。

  その後版画は色々な版元で企画制作されるようになりましたが、その大半が、画商
  ではなく、美術本の出版社でした。

  1940年代になるとエメ・マーグがシャガールやミロの版画を画廊企画として出
  版するようになり、それから徐々に他の画廊も展覧会の平行して版画を出版するよ
  うになってきました。

  1970年代に入り、ビジョンヌーベル社が販売会社としてフランス人作家の版画
  を企画して展示会などで販売する形態を開始し始めました。

  その後は画家,版元,刷元の3者がそれぞれを分担して版画の製作出版するのが一般化
  しました。

  1980年代になるとバブルの影響もあり、画家が版元の拘束から離れ、自分自身で
  版画の出版を行うようになり始めました。

  現在ではかなりの有名作家が版元には自分または、自分のプロダクションがなり、
  画廊は単にその作品を仕入れて売るだけの役割になってしまっています。
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☆オリジナル版画について


  オリジナル版画と言う概念は、いくつか有り判断基準が分かれております。

  一番厳格な分け方をする場合は、作家が自分で原画を考え、そして自分で版を作り
  自分で刷った作品のみをオリジナル版画と考え、それ以外は全て複製版画と見る分
  け方です。

  ただこの考え方は現在では範囲が狭すぎて、現在ではあまり妥当とは言えなくなっ
  ています。

  現在日本で通常オリジナル版画と呼ばれる作品の要件は次の2点です。

  1.作品を版画にする意図で原画が制作されている事。

  2.作家がその刷り上がった作品を確認している事。

  つまり版を作家自らが制作する事、サインの有無等はオリジナル版画たる要件では
  ありません。

  日本の世界に誇れる文化遺産である浮世絵は、まさに作家、彫り師刷り師の分業に
  よりその作品が作られたことを見ても、オリジナルの要件はこの2点であることは
  明白な事です。

  オリジナル版画以外の版画は「エスタンプ(複製版画)」と呼ばれています。

  エスタンプもその作品によりオリジナルに近い価値を持つ作品もあります。

  たとえばシャガール、ビュッフェの※ソルリエ版や、ピカソ、ブラックの※ヴィヨン
  版などがそれにあたります。

  東山魁夷や平山郁夫などの日本画家の場合、刷り師により制作されたエスタンプ版画
  の方が、作家本人が制作したオリジナル版画よりも装飾性が高いため、逆に価値が高
  いです。

  ※ソルリエ版−ムルロー工房の刷り師シャルルソルリエ(1921-1990)によって制作さ
  れたエスタンプリトグラフ

  ※ヴィヨン版−ジャックヴィヨン(1875-1969)によって制作されたエスタンプ銅版画
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☆額縁用のフック位置決めの方法


  大きい絵の場合はフックを2個使って、額の後ろのひもに引っかけて壁に設置します

  今回は壁の中心に2つのフックで絵を飾る方法を説明させていただきます。

  絵を飾る場所が決まりましたら、鉛筆と巻き尺を用意します。

  まずは絵を飾る高さを決めるため、一人もしくは、2人で額を持ち壁に当ててみて、
  もう一人の人が2mほど離れて丁度良い高さを指示します。

  設置する高さが決まりましたら、その高さで額の上隅に合わせて、鉛筆で壁に印を付
  けます。

  次に額を下ろして、額の裏に回ってひもを上にピンと引っ張って、額がフックにかか
  った状態を想定してひもの引っかけ部分から、額の上端までの長さを巻き尺で測りま
  す。

  フックを打つ位置の高さは壁に付けた鉛筆の印から先ほど測ったひもから額の端まで
  の長さ分下がフックを打つ高さとなります。

  これでフックを打つ位置の高さが決まりました。

  次に横の位置を決めます。

  次に巻き尺で額縁の幅と、飾る壁の幅を測って下さい。

  額縁の幅を3で割った長さをXとします。

  [額縁の幅÷3=X]

  壁の幅から額の幅を引いた長さを2で割った長さをYとします。

  [(壁の幅−額縁の幅)÷2=Y]

  1つ目のフックは右または左の壁からX+Yの長さの場所で、先ほどの決めた高さに
  打ちます。

  そして2つ目の同じく1つ目のフックから測った反対側に、X分の長さ横にずらして
  打ちます。

  文章だけでの説明ではわかりにくいかと思いますが、実際に設置する際は、この順番
  を確認しながらしていただければ、壁の中心の希望の高さに設置することが出来ます

  高さに関しましては当初決めた高さより2〜4cm上に決めて、後からひもで調節し
  た方が、より希望の高さに設置できます。
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☆版画の保存について


  版画の保存に気を付けなければいけないのは直射日光、湿気、熱 です。

  版画は直射日光に含まれる紫外線などで色素が分解されて色が薄くなってしまいます

  色素の中でも赤色が一番光に弱く、その次に青色が光によって退色しやすいです。

  直射日光で薄くなった作品は修復が不可能なため、破損した作品として、価値は半分
  以下に下がります。

  一日で日の射し方が変わりますので、直射日光が入らない面の壁の飾ってください。

  最近の作品は殆ど紫外線防止のアクリルに入っておりますが、紫外線防止アクリルは
  波長領域300〜380nmの紫外線はカットしますが、380〜780nmの可視光線の波長の光は
  カットできず、この波長の光でも退色は起こるため、日光に当て続けると退色を起こ
  しますので、紫外線防止アクリルを過信し過ぎないでください。

  影響のある光を完全にカットすることも可能ですが、そうすると磨りガラスのような
  アクリルになり、絵が見えなくなってしまいます。

  もう一点は湿気で、日本ですと梅雨時や長雨が続くときはエアコンのドライをつけて
  いただくか、除湿器をお使いください。

  湿気によってかびが発生したり、紙が波打ちしてきたりします。

  箱に入れっぱなしにするのもよくありません。

  段ボールは以外と湿気を吸い取るもので、その段ボール箱自体が吸い取った湿気によ
  り箱の中が、高湿度に陥ります。

  年に数回は、よく晴れた日に額を箱から出して、換気をして下さい。

  波打ちは費用はかかりますが修復が可能です。(修復代3万円〜5万円)

  リトグラフや銅版画はシミや焼けを修復で直す事が可能ですが、シルクスクリーンは
  版画を洗う薬剤により表面の透明な光沢のニスが取れてしまうため、シミや焼けの修
  復することが出来ません。

  そのためシルクスクリーンは湿気などに特に注意が必要です。

  熱に対する注意は絵の下にストーブを置いたり、反射式ヒーターの熱が当たる所には
  絶対に置かないでください。

  ストーブなどの熱が当たると絵の表面が100度近くまで上がり、紙と絵の具がはが
  れたり、表面のニス部分に亀裂を生じたりします。

  絵の具がはがれたり、表面のニスに亀裂を生じるとると修復できないため、退色同様
  にかなりその価値を下げます。

  色々記載しましたが、以上のことにちょっと気を付けていただければ、長らく作品を
  良好な状態に保てます。
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☆版画の保証書について


  版画が美術品として取引された歴史は一般的にほぼこの200年程です。

  それ以前は一部のレンブラント、デューラーなどの一部版画作品を除いて、書籍
  の一部として取り扱われてきました。

  現在では版画に保証書や証明書を付けて販売するのが一般的と思われている方も
  多いかと思いますが、実際はこの20年程度、しかも日本のみでこの習慣は始ま
  りました。

  古今、版画は作品の真性の保証はもちろん販売する側の義務で、特別に保証書を
  発行することはありませんでした。

  ただ一点しかない本画、原画は物故の作家では通常添付されなければ、流通の対
  象になりません。

  一点しかない作品は、作家本人が死ぬと他に比べる物が無いため、真贋を確定す
  るのがプロであっても難しいため、証明書が要求されます。

  版画は同じ作品が多数有り、しかも技法にもよりますが、その贋物を作るのには
  非常に多大なコストと、比べても分からないほど精密な贋物は作ることが不可能
  なため、リスクも非常に高く基本的には殆ど存在しないため、証明書は必要あり
  ませんでした。

  現在保証書が作品に付いている事が一般的になってきた理由は大手販売会社が
  販売アイテムの一つとして、一点一点に保証書を付け始めたことに起因します。

  保証書を作ること自体はコストも紙代とわずかな印刷代、手間だけで、付けるこ
  とにより、お客様を安心させる材料となれば、これほど手軽なことはありません。

  もちろん弊社でもご希望のお客様には弊社保証書を添付しておりますが、保証書
  の有無に関係なく、弊社で販売した物の真性に関しては未来永劫に保証いたします
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☆絵の値段ついて


  絵の値段が適正かどうかが、絵を買う人の頭を悩ます一番の疑問かと思います

  絵の値段には、デパート・展示会で売られる価格、業者間の価格、絵を換金した
  ときの価格など色々な価格が存在します。

  絵には株式市場のような誰でもが新聞で見れるようなオープンな価格の市場はあ
  りません。

  それは絵の価格のかなりの部分が相対的な条件により決定されるためです。

  オークションにおいてそれは端的に現れますが、どうしてもその作品が欲しい人
  2人が競り合えば、どちらもあきらめなければ、オークションの価格は際限なく
  高くなります。

  版画のような複数作品の場合は若干は過去の売買例により、歯止めはありますが、
  理論的には同じです。

  よく"この作品"はいくらで買えますかという質問を受けます。

  その際可能であれば、過去の販売価格を基に大体の相場でお答えしておりますが、
  その価格はあくまで、売りたい人が現れた状態での価格でしかありません。

  それはあくまで絵に描いた餅の様にその価格でその作品が買えると言うことでは
  ありません。

  在庫で持っている作品でないと売れないからです。

  希望の作品を探してその価格でお売りすることは不可能です。

  絵の価格は売る人が存在して初めて取引が始まります。

  欲しい人だけいても、売り物となる作品が存在しなければ、取引は成立しません

  そのため、どうしてもその作品を手に入れたい人はそのような価格では手に入れ
  ることが不可能なのです。

  弊社では卸販売を34年間続けてまいりましたが、それらは全てその都度の状況
  で決定されてきた価格での販売で、電化製品のように決まった仕入れ価格がある
  ものではありません。

  どのように絵の価格が決まってくるの不思議に思うかもしれません。

  弊社の絵の価格は全て弊社で独自に決めています。

  もちろん色々な情報は参考にしますが、最終的には業者は自分の相場観のみが絵
  の価格の決定要素です。

  相場が存在しているのは各業者の頭の中だけなのです。

  本当のプロは自信を持って自分の相場により行動し、そうでない業者は周りを見
  て、他人の相場観で行動します。

  つまり業者により相場が違うことが当たり前なのが絵画の価格の世界なのです。

  そして業者間での取引が成り立つ画家は全画家の中でごくごく一部で、その他大
  勢の99%の画家の作品は業者間で相場がなく、あくまで作家もしくは画廊、販売
  店から購入者への一方通行で、それらが再び業者に戻ることのない美術品である
  ことを付け加えさせていただきます。
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ギャラリーダッドアート
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TEL 03(5743)7366
FAX 03(5743)7365
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