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奥村土牛(1889−1990)

現代日本の代表的な日本画家の一人
本名:奥村 義三(おくむら よしぞう)
号である「土牛」は、出版社を営んでいた父が寒山詩の一節
「土牛石田を耕す」から引用してつけられた。
院展理事長。芸術院会員。文化勲章受章。梶田半古、小林
古径に師事。
刷毛で胡粉などを100回とも200回ともいわれる塗り重ね
をし、非常に微妙な色加減に成功した作品が特徴とされる。
<富士山図>(または「富士」)が著名で、皇居にも飾ら
れている。

没後に、作品に課せられた巨額の相続税(没時がバブル期
だったので高額になった)に悩んだ子息・奥村勝之(四男
で写真家)が、比較的価値の低かったスケッチを焼却処分
したことを、著書で告白し話題になった。
このことは美術工芸品の相続税制の問題を世に問うことに
なった。

奥村土牛年譜

1889 2月18日東京府東京市京橋区南鞘町(現東京都中央
   区京橋1丁目)に生まれる(本名:義三)

1900 城東尋常小学校卒業

1905 梶田半古の門に入り、塾頭の小林古径に指導を受
   ける

1907 東京勧業博覧会に『敦盛』が入選

1911 逓信省貯金局統計課に勤務しポスターなどを描く
   仕事に従事(−1916)

1914 半古没後,改めて古径に師事

1917 このより[土牛]の雅号を使用、雅号は父が寒山詩
   の一節「土牛石田を耕す」という言葉から名付けら
   れた

1920 古径の画室に共に住み,以後長い研鑚時代に入る
   元院体画はもとよりイタリアルネサンスからセザ
   ンヌまで西洋絵画に関する勉強を重ね、土牛芸術
   の堅固でスケールの大きい基礎を作る

1923 中央美術社第5回展『家』にて中央美術賞受賞

1926 この頃速水御舟に出会う

1927 古径の紹介で速水御舟の研究会で教えを受ける
   第14回院展に「胡瓜畑」(東京国立近代美術館蔵)が
   初入選
   38才の遅い出発であったが、以後毎入選を続ける

1929 再興第16回院展で「蓮池」により日本美術院院友
   に推挙される

1932 日本美術院同人に推挙
   永年の蓄積と、物事に対する執拗さと誠実さ、東京
   人の感覚が相って画才は磨かれ、やがて近代的写
   実を踏まえた高潔な象徴世界を生み出していった

1935 帝国美術学校(現武蔵野美術大学)日本画科教授
   に就任

1936 改組第1回帝展に出品「鴨」が満場一致で推奨第
   1位、政府買上げとなる

1944 塔鏡美術学校講師を務める

1945 空襲で家が焼け、長野県南佐久郡穂積村へ疎開

1947 帝国芸術院(現日本芸術院)会員に就任

  1949 女子美術大学美術学部教授となる

1950 武蔵野美術大学教授となる(〜1966)

1958 日本美術院監事・評議員に就任

1959 日本美術院理事就任
   第44回院展に戦後日本画の最高傑作といわれ
   る「鳴門」を発表(山種美術館蔵)

1962 文化勲章を受章、併せて文化功労者推挙

1978 日本美術院理事長に就任(〜1990)

1980 東京都名誉都民の称号を贈られる

1990 長野県南佐久郡八ケ穂村に,奥村土牛記念美術
   館が開館

   東京にて逝去 享年101歳

代表的な作品
『鳴門』(1959 再興第44回院展 紙本 128.5×160.5cm)
『鹿』(1968 再興第53回院展 紙本 114.7×145.0cm)
『醍醐』(1972 再興第57回院展 紙本 135.5×115.8cm)
『閑日』(1974 再興第59回院展 紙本 73.0×100.0cm)
『吉野』(1977 再興第62回院展 紙本 108.6×184.4cm)
『富士宮の富士』(1982 再興第67回院展 紙本)
 (76.1×115.1cm)
『蠣』(1984 再興第69回院展 紙本 102.0×131.0cm)
『寅』(1985 紙本・墨画淡彩・額 16.2×49.5cm)

著書・作品集
スケッチ集『スケッチそのをりをり』 朝陽舎書店 1917
奥村土牛自撰画集 日本美術新報社 1957
(日本画自撰画集)
土牛插画 中央公論美術出版 1971
自伝『牛のあゆみ』1974 日本経済新聞社 中公文庫
徳岡神泉・奥村土牛 現代日本の美術 4 座右宝刊行会編
集英社 1975
現代日本画家素描集 8 奥村土牛 わが身辺抄
日本放送出版協会 1978
舞妓 奥村土牛素描集 日本経済新聞社 1980
土牛素描 エディション・ミツムラ 1981
土牛素描 中央公論美術出版 1987
土牛素描 日本放送出版協会 1990
奥村土牛 日本経済新聞社 1991(日経ポケットギャラリー)
現代の日本画 2 奥村土牛 学習研究社 1991
白光 奥村土牛書画集 中央公論社 1991
現代日本素描全集 2 奥村土牛 ぎょうせい 1992
絵皿の響き 奥村土牛俳句と素描 奥村明美
マガジンハウス 1993

主な作品収蔵先
奥村土牛記念美術館
もとは戦後疎開していた黒澤家の迎賓館
(第十九国立銀行ほか)
奥村土牛記念美術館(長野県南佐久郡佐久穂町)
山種美術館

ドキュメンタリー
NHK特集「百歳の富士 奥村土牛」
(1989年1月23日、NHK)
朗読ナレーター三國連太郎
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