ヨーゼフ ボイス
Joseph Beuys(1921-1986)
1921年 ドイツ北部クレーフェルト生まれ
1940年 空軍に入隊しパイロットとなる
終戦後にデュッセルドルフの美術学校で彫刻を学ぶ
彫刻家として、兎、コヨーテ、脂肪、銅、フェルトといった
マテリアルを繰り返し用いたが、それらは戦争中の体験から
きたものだと自ら語っている。※
60年代にデュッセルドルフが現代美術の拠点のひとつとなっ
た頃、ナム・ジュン=パイクとフルクサスの活動に参加
それを媒介として、アートは社会の中でより広くどのように
その役割を演じることができるかを進化、発展させていった
その後、巨大な彫刻や小さなオブジェ、ドローイングやイン
スタレーションなどを次々と発表
その活動は精神経済や直接民主主義の提唱などにまで及んだ
1986年 デュッセルドルフにて没
※戦時中、パイロットだった彼は撃墜されヨーロッパのはるか
北方に不時着します
彼を発見したのは北方の狩猟民族です
彼らはボイスの体にラードをあつく塗りフエルトの毛布で
くるみ看護します
その伝統的な看護法によって、ボイスは奇跡的に命をとり
とめるのです
彼はこの体験を、科学・技術の挫折と自然による人間の救済
を語る神話とします
その神話に基づくパフォーマンスやインスタレーションは
自然の本来の姿を復活させ理想の社会を形作るための営み
と位置づけられました
その一つをあげれば、かつてヨーロッパに存在した森林の
復活を訴え、カッセルのドクメンタに出品された「七千本の樫の木」
があります。
ヨーロッパ古代の自然に現代社会の救済を求めるその表現は、
アメリカで展開されたコンセプチュアルアートとは異質です