ホーム > 現代美術日本作家 > 浜田知明 |
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浜田知明日本の版画家が国際的に注目されはじめたのは1950代からであるが、浜田も棟方志功、浜口陽三、駒井哲郎らと並び第 二次大戦後の日本を代表する版画家の一人に数えられる。 1917、熊本県上益城郡高木村(現御船町)生まれ。教育者 の次男である。旧制御船中学校(現在の熊本県立御船高等 学校)では、東京美術学校を卒業後すぐに美術教師として 赴任していた富田至誠に指導を受ける。16歳の時には飛び 級で東京美術学校(現・東京藝術大学)油画科に入学し、 洋画家藤島武二の指導を受けた。戦時色濃いこの時代にあ って、1939の同校卒業と同じに日本軍(熊本歩兵連隊)に入 隊し、中国山西省方面で軍務についた。1943に満期除隊す るが、翌1944には再び入隊し、伊豆七島の新島で軍務につい た。20歳代の大半を軍隊で過ごした、典型的な戦中派であっ た。戦地でもスケッチなどを残しているが、作家としての 本格的なデビューは太平洋戦争後のことである。 第二次大戦後、浜田は郷里熊本に帰り、県立熊本商業学校 の教員をしながら作品制作をしていたが、1948に東京へ出 、自由美術家協会に所属して作品発表の機会をうかがって いた。浜田が注目を集めるのは1951の自由美術家協会展に 出品した銅版画『初年兵哀歌』シリーズからである。浜田 の代名詞ともなっているこのシリーズは1954にかけて計15 点が制作された。中でも1954作の『初年兵哀歌(歩哨)』 は高い評価を得、1956年のルガノ国際版画ビエンナーレで 受賞している。 日本国内のみならず、1979にはオーストリアのウィーン(ア ルベルティーナ版画素描館)とグラーツ(グラーツ州立近代 美術館)、1993にはロンドン(大英博物館日本ギャラリー) で回顧展を開催、2008にはイタリアのウフィツィ美術館で 日本人版画家として初めて展示、収蔵され、1965にフィレン ツェ美術アカデミー版画部名誉会員、1989にはフランス政 府より芸術文化勲章(シュヴァリエ章)を受章するなど、 国際的にも活躍している。 「冷たく、暗い、金属的な感じ」を求めた結果、技法的には 一貫してエッチング(腐食銅版画)を主体に作成し、アクア チント(松やにを防蝕剤に使った銅版画の一種)を併用す ることもある。核戦争のような人間社会の不条理や人間心 理の暗部といった深刻なテーマを、ブラックユーモアにく るんで表現している。浜田は発表する作品を厳しく選別し ており、発表する作品は平均して年間数点に過ぎない。また 、初期の作品は大部分が本人によって破棄されたといわれ ている。1983からはブロンズ彫刻にも取り組み、新境地を 見せている。98歳となった2015時点でも創作意欲は衰えて いないという。 2018年7月17日、老衰のため熊本市内の病院で死去した。 享年100歳。 浜田知明年譜 1917 熊本に生まれる 1939 東京美術学校油画科卒業 1956 第2回現代日本美術展において「副校長D氏像」及 び「よみがえる亡霊」で受賞 第4回ルガノ国際版画展において「初兵哀歌( 歩哨)」で受賞 1960 第4回現代日本美術展において「群盲」で受賞 1962 「狂った男」で第2回福島賞受賞 1964 渡欧 1965 帰国 フィレンツェ美術アカデミー版画部名誉会員となる 1975 浜田知明銅版画展において全作品を展示 (北九州市立美術館主催) 1979 浜田知明銅版画展において全作品を展示 (熊本県立美術館主催) アルベルティーナ国立美術館(オーストリア) グラーツ州立近代美術館(オーストリア) 主催 浜田知明展において自選100点を展示 渡欧 1980 浜田知明銅版画展において全作品を展示 (神奈川県立近代美術館主催) 1989 フランス革命200周年にて、フランス政府より 芸術文化勲章(シュヴァリエ章)受賞 1993 大英博物館・日本館主催 浜田知明展において 自選版画100点、彫刻16点を展示 1994 浜田知明展において版画、彫刻全作品を展示 (熊本県立美術館主催) 1996 朝日新聞社、小田急美術館、富山県立近代美術館 下関市立美術館、伊丹市立美術館共催による 「浜田知明の全容展」開催 2000 浜田知明-彫刻による諷刺において彫刻52点全 作品、版画25点を展示 (神奈川県立近代美術館主催) 2018 7月17日、老衰のため熊本市内の病院で死去 享年100歳 代表作品 『初年兵哀歌』シリーズ(1951−54) 『いらいら(A)』、『いらいら(B)』(1974、1975) 『檻』(1978) 『ボタン(A)』『ボタン(B)』(1988) |