ジャスパー ジョーンズJasper Johns
ジョーンズはジョージア州オーガスタに生まれた。少
年期をサウスカロライナで過ごした後、1949、ニュー
ヨークに出る。徴兵されて陸軍に入り、1952に除隊。
1954頃から、国旗、数字、標的などを題材にした絵画
を発表し始める。ほぼ同世代の美術家ラウシェンバー
グとは、同じビルに入居していた親友だと見られてい
たが、晩年のインタビューではゲイカップルであった
ことを示唆している。
ラウシェンバーグの作品がしばしば二次元の枠をはみ
出ているのに対し、ジョーンズは標的や地図のような
もともと二次元的な事物を平面に描くことにこだわっ
た。三次元の事物を二次元の平面に再現する「イリュー
ジョン」としての絵画はここでは否定され、絵画自体が
「もの」であることが強調され、平面的な「オブジェ」
と化しているのである。手法として古代の絵画技法で
あるエンカウスティーク(エンコスティック)という
ユニークな技法が用いられその作品に独特のメチエを
与えている。
また、ジョーンズはビールの缶をブロンズで本物そっ
くりに鋳造し彩色した「彫刻」も手掛けている。
ジャスパー ジョーンズ年譜
1930 アメリカ・ジョージア州オーガスタで生まれる
幼年時代の大半はサウスカロライナ州アレンデ
ールの祖父母のもとで過ごす
奨学金を得てニューヨークの商業美術学校で学
ぶも途中で退学
1947 サウスカロライナ州立大学で美術を専攻( -48)
1949 2年間軍隊に入る。仙台に6カ月駐屯する
1952 ニューヨーク、ハンター・カレッジに入るが
2日で退学する
1954 ラウシェンバーグとともにティファニーなど
のウインドゥ・ディズプレイ等の仕事を行う
ジジョン・ケージ、マース・カニンガムと会う
「旗」や「的」とシリーズの制作を始める( -57)
1956 「アルファベット」の制作開始。カンヴァス
にオブジェを導入し始める( -57)
1957 ジューイッシュ美術館での「ニューヨーク派
の美術家たち・第二世代」展に出品
レオ・カステリに認められ、グループ展に出品
1958 ニューヨーク、レオ・カステリ画廊で初個展
(「旗」「的」「数字」等作品を展示)
ニューヨーク近代美術館が2作品を買い上げ
ピッツバーグ・ビエンナーレ現代絵画彫刻
国際展で国際賞受賞
1959 マルセルデュシャンを知る
1964 ニューヨーク、ユダヤ美術館で初の回顧展
日本旅行中「見張り」「スーベニア」を制作
1967 フラッグ・ストーン(敷石)をハーレムで見
て、これをモチーフとして使い始める
1972 絵画の大作「無題」を制作、クロス・ハッチの
パターンが使用される
1973 オークションで「二重の白い地図」が24万$
で落札。アメリカ現存画家のレコードに
1977 ホイットニー美術館で大規模回顧展
ヨーロッパと日本も巡回
1978 巡回回顧展のため来日
1988 第43回ヴェネツィア・ビエンナーレにアメリ
カ代表作家として出品
国際大賞受賞
1990 ブッシュ大統領より芸術大賞授与
ワシントン、ナショナル・ギャラリーで
「ジャスパー・ジョーンズの絵画」展
バーゼル、ロンドン、ニューヨークへ巡回
(ホイットニー美術館)
1993 高松宮殿下記念世界文化賞・絵画部門受賞
1996 ニューヨーク近代美術館で回顧展。ケルン、
東京へ巡回
代表作
Target with Four Faces(4つの顔のある標的)
(ニューヨーク近代美術館)
Map(ニューヨーク近代美術館)
Flag(ニューヨーク近代美術館)
False Start(ニューヨーク近代美術館)
Painted Bronze(ニューヨーク近代美術館)
Three Flags(ホイットニー美術館)
White Flag(メトロポリタン美術館) |