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久里洋二(1928- )

本名:栗原 英夫(くりはら ひでお)2016以降、クリ ヨウジ
または姓名の間に中黒を入れたクリ・ヨウジの名義を併用
して活動している。
福井県今立郡鯖江町(のちの鯖江市)出身。父は軍人。
陸軍幼年学校の受験に失敗後、旧制福井県立武生中学校(現
福井県立武生高等学校)へ入学。中学時代に終戦を迎えた。
1947年、京都市美術学校の入学試験に合格するが、父親が
公職追放となり、学費の目処が立たなくなったために進学
を断念し、郷里で様々な職業について家計を助けた。
この頃、横山泰三の漫画に心酔し、自身でも雑誌への投稿を
重ねるが、一度も採用されなかった。

横山への憧れが高じ、1950に横山の住居・鎌倉市に近い藤沢
市に移住。藤沢には漫画家の利根義雄がおり、偶然知己を
得た久里は、利根の紹介で横山や、演出家の丸尾長顕と知
り合う。横須賀税務署への勤務を経、1952には利根の斡旋で
共同通信社の画信室に転職し、写真や漫画などの画像素材
を地方紙に販売する業務に従事した。1954、絵の勉強のた
めに文化学院美術科と学校法人アテネ・フランセに入学し
3年通学。この間に小島功率いる独立漫画派に入会し、雑誌
の寄稿で学費を稼いだほか、二科展への出品を開始した。

1958、読売新聞社会部の嘱託としてカット製作に従事する
かたわら、自身のアトリエ「久里実験漫画工房」を設立し
『久里洋二漫画集』を自費出版。久里は用紙や製本素材選
び、印刷業者・製本業者への搬入、配本をすべてひとりで
行った。久里は同作で第4回文藝春秋漫画賞を受賞した。

1960、「久里実験漫画工房映画部」を設立し、アニメーション
の自主制作を開始。映画祭への出品や、テレビ番組・テレビ
CMなどへの提供を数多く行い、多数の賞を受賞した。
1971には日本アニメーション協会の設立メンバーとなる。

2010、郷里・鯖江市の郷土博物館「まなべの館」の名誉館長に
就任した。久里は同館にアニメーション作品の映像資料お
よび油彩画・アクリル画を寄贈している。

久里洋二年譜

1928 4月9日福井県今立郡鯖江町東小路63番地に生まれる

1953 朝日広告賞第2部で佳作賞受賞

1955 美松書房画廊(新橋)で石川まさやと二人展
   二科展入選

1956 美松書房画廊(新橋)で第1回久里洋二漫画展
   文化学院美術科卒業

1957 美松書房画廊(新橋)で第2回久里洋二漫画展

1958 久里実験漫画工房設立
   友人の福沢七朗の父の経営する印刷所で「久里洋二漫画
   集」自費出版
   第4回文藝春秋漫画買受賞
   二科展特選、養清堂画廊で久里洋二リトグラフ展
   漫画誌「二匹のサンマ」(COO2)「こわれた日記」(COO3)
   刊行

1960 久里実験漫画工房映画部設立
   アニメ-ション制作に乗り出す
   「3人のアニメ-ション」を草月会館で上映
   (柳原良平、真鍋 博、久里洋二)
   ADC銅賞受賞「フアッション」「ミツワ石鹸」
   漫画誌「マッチ売りり少女」(COO4)刊行

1961 アニメション「ミツワ石鹸」第1回ACC漫画賞受賞

1962 アニメーション「人間動物園」ヴェネチア映画祭で青銅
   賞受賞
   アヌシー国原ア二メ映画祭で特別書査員賞受賞
   ADC銅賞受賞

1963 カナダ、バンク-バ-映画祭で「人間動物園」特別賞受賞
   フランス、アンシ-映画祭で特別審査員賞受賞

   アニメーション「LOVE」がヴェネチア映画祭で青銅
   賞受賞
   「ゼロの発見」がサンフラシスコ映画祭で佳作賞を受賞

1964 イタリア、ベルガモ映画祭に出席
   オーべルハウゼン映画祭で「LOVE」が最優秀作品賞
   受賞(西ドイツ)
   ポ-ランド、クラカウ映画祭でゴ-ルドドラゴン賞受賞
   日本テレビの深夜番「11PM」に短編アニメーションを
   発表(〜82)

1965 フランス、アヌシ-映画祭に審査委員として出席
   メルボルン映画祭で「LOVE」優勝賞受賞
   西ドイツ、オ-べルハウゼン映画祭で「AOS」優秀賞
   受賞
   第20回毎日映画コンク-ルで大藤賞受賞

1966 ル-マニア、ママイヤ映画祭に招待出席
   同映画で「さむらい」銀賞受賞
   紀伊国屋ホ-ル(新宿)で「久里洋二のすべて」開催

1967 カナダ、モントリオ-ル映画祭に招待出席
   フランス、アヌシ-映画祭に出席
   「殺人抂時代」が、オ-べルハウゼン映画祭で最優秀作品
   賞(西ドイツ)
   シカゴ映画祭でグランプリ受賞
   「部屋」がヴェネチア映画祭でサン・マルコ獅子杯
   「花」がモントリオ-ル万国博覧会映画祭で第2位
   「あなたはなにを考えているの」フランス、トゥ-ル映画祭
   で特別審査員賞受賞

1968 西ドイツオ-べルハウゼン映画祭に出席
   「二匹のサンマ」がカトリック協会映画賞受賞
   同作品で毎日映画コンク-ルで大藤賞受賞

1969 スペイン、パルセロナ映画祭に招待出席、同祭で特別
   賞受賞
   ベルギ-、クノック国際漫画展で「久里洋二ポスター展
   10点」グランプリ受賞

1970 ル-マニアママイヤ映画祭に出席
   大阪万国博覧会の化学工業館、電力館に出品
   「EXPO'70化学工業館のための3面立体アニメー
   ション」

1971 フランス、アヌシ-映画祭に出席
   ミラノの久里洋二アニメ-ション映画祭に招待出席
   同地で個展

1972 ニュ-ヨ-ク映画祭に出席。
   イタリア、ルッカ映画祭に出席、同地にて個展

1973 オ-ベルハウゼン映画祭でアニメ-ション「寄生虫のショ
   一夜」が銀賞受賞(西ドイツ)
   ニューヨーク第1回アニメ-ション映画祭でも同作品は
   佳作賞受賞
   フランス、アヌシ-国際祭に出席

1974 アデレ−ド映画祭で南十字賞受賞
   ニュ-ヨ-ク第2回アニメション映画祭で「11PM」特別賞
   受賞
   ユ-ゴスラビアザグレブ第1回アニメ-ション映画祭で
   「POP」    「木の上の生活」が短篇部門第2位入賞

1977 ポーランド、クラカウ映画祭で「MANGA」がドラゴン・ド・
   ブロンド賞受賞
   ザグレブ国際ナイ-フ展に招待出品

1979 フランス、リ−ル映画祭に招待出席
   ロ-マ、アカデミア・ティべリーナの永久会員に推挙

1980 スイスバ-ぜルのART'80展に出品
   スイスの美術雑誌「グラフィクス」年鑑の80/81表紙
   デザインを日本人で始めて担当製作

1983 フィランド・テンパ-国際映画祭で「久里洋二特集」を開催
   ブルガリア、バルナ国際映画祭に審査員として招待
   出席
   「Animated film by kuri」展を開催
   (ニューヨーク近代美術館)

1984 ベルギ-、クノック国債漫画展に招待出品する
   思索社より「久里洋二のユーモアの世界」の漫画本を刊行
   する

1986 特別企画展「ANIMATED・FILM・BY・KURI」
   (ニューヨーク近代美術館)
   「国際イラストレ−ションビェンナ-レ'86」出品

1987 「久里洋二・SpaceArt」展開催
   (南フランス・ミラマス市/Colonne)
   シュットガルト映画祭に出席
   「久里洋二アニメ-ション特別上映」する

1991 カンヌ映画祭に「人間動物園」招待出品
   いんなとりっぷ社「どんじり」刊行
   求龍堂から「久里洋二・空想庭園」画集を刊行

1992 香川県高松美術館「久里洋二アニメ−ション映画」開催
1993 フランス、アヌシ−国際アニメ映画祭に審査員として
   出席
   アヌシー国際アニメ映画祭ACFA功労賞受賞

1994 池田20世紀美術館で「久里洋二・エロスとユ−モアの
   人間図鑑展」開催
   「USAクロ−スアップオブジャパンアトランタ'94」に
   「LOVE」を出品(アトランタ)

1995 BBS主催の日本アニメション大会に「殺人狂時代」「AI」
   「サムライ」「部屋」「バスル−ム」「寄生虫の一夜」を出品
   (ハンガリ−、ブタペスト)
   短編映画祭に「サド」3月東京都美術館「人人展」出品参加
   (フィンランド)

1996 紺綬褒章を受章

  1998 腎臓癌の手術する

1999 パリアニメニーション映画祭「久里洋二アニメーション特集・講
   演」出席開催(フランス、パリ)

2000 「メルヘンとファンタジーの世界」「久里洋二の太陽」
   「Scope表紙絵原画展」

2005 第2回東京国際アニメ、特別功労賞受賞

2008 「アートアニメーションの小さな学校」の講師を務める
   (ラピュタ阿佐ヶ谷主催)

受賞歴
絵画
1958 二科展特選(油彩画『鎌倉カーニバル』)

漫画
1950 朝日広告賞第2部 佳作
1958 第4回文藝春秋漫画賞(『久里洋二傑作集』)
2017 第46回日本漫画家協会賞大賞カーツーン部門
(『クレージーマンガ』) - 「クリ・ヨウジ」名義

アニメーション
1961 第1回ACC CMフェスティバル漫画賞『ミツワ石鹸』
1962 ヴェネツィア国際映画祭青銅賞『人間動物園』
   アヌシー国際アニメ映画祭特別書査員賞『人間動物園』
1964 ロカルノ国際映画祭特別賞『ザ・ボタン』
1965 大藤信郎賞 1967 オーバーハウゼン映画祭最優秀賞『殺人狂時代』
   シカゴ映画祭グランプリ『殺人狂時代』
   ヴェネツィア国際映画祭サンマルコ獅子賞『部屋』
1977 ポーランド・クラカウ映画祭ドラゴンブロンズ賞『MANGA』
1993 アヌシー国際アニメ映画祭功労賞

個人功労
1983  紺綬褒章
1992  紫綬褒章
2011  旭日小綬章
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