ホーム > 日本洋画作家 > 南桂子 |
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南桂子少女や鳥や樹木を題材とした詩的な作品で知られる。戦後日本を代表する銅版画家である。祖母の節子は科 学者の高峰譲吉の妹である。父親の南達吉は東京帝国 大学法科大学(現東京大学法学部)を卒業して南家の 家督を継いだ人物である。母親のきよは日本女子大学 国文科で学んだ歌人である。 1911年2月12日、富山県射水郡下関村(現高岡市中川) の地主の家に三女として生まれた。母親は南が幼いこ ろに亡くなったため顔も知らず、継母に育てられたう え、12歳の時には父親が急死した。こうして早くに両親 を亡くしたことから、高岡市中川で親族によって育て られた。1924に富山県立高岡高等女学校(現富山県立 高岡西高校)に入学し、1928に高岡高等女学校を卒業 した。富山では一度目の結婚を行って子供を儲けた。 太平洋戦争後の1945、34歳の時には長男とともに上京。 佐多稲子の紹介で作家の壺井栄に童話を、洋画家の森 芳雄に油絵を学んだ。現在、南の童話を収録した本が 出版されている。1949には第13回自由美術展に油彩画 「抒情詩」を出品し、森芳雄のアトリエで後に夫となる 版画家の浜口陽三と出会った。1954にフランス・パリ に渡ると、フランスでは浜口と暮らした。40歳を過ぎて から銅版画の世界に入り、ジョニー・フリードランデル 版画研究所でアクアチントを学んだ。1955には自由美 術家協会会員に推され、1956には「風景」がフランス 文部省に買い上げられた。 1957にはニューヨーク近代美術館(MoMA)のクリスマス カードに「羊飼いの少女」が採用され、1958にはユニセ フによるグリーティングカードに「平和の木」が採用 された。このグリーディングカードは200万枚以上が発 行され、2度増刷されている。1964にはユニセフの1966 版カレンダーに「子供と花束と犬」が採用された。1970 に出版された谷川俊太郎の詩集「うつむく青年」では、 ペン画による挿絵や装画を手がけた。谷川は「銅のフ ェティシズム 南桂子さんに」という詩を詠んでいる。 1968には親交のあった朝吹登水子らが翻訳を担当した 「界文学全集 46 ボーヴォワール/デュラス」(講談社) で挿絵8点を手掛け。、1969に出版された福永武彦の「幼 年 その他」(講談社)でも挿絵を手掛けている。 1961から1981まではパリの画廊と専属契約を交わして いる。1982には帝国ホテルの全客室に南の銅版画が飾 られ、1992に創刊した帝国ホテルの情報誌「IMPERIAL」 では1号から13号まで連続して南桂子の作品が表紙を 飾った。2011時点でも一部の客室には南桂子の作品が 飾られている。1981にはパリからアメリカ合衆国のサ ンフランシスコに移り、1984には日本版画協会名誉会 員に推挙された。1996に日本に帰国。1998には浜口陽三 の作品を常設展示する「ミュゼ浜口陽三・ヤマサコレク ション」が開館し、南の作品の所蔵も行っている。2000 には夫の浜口陽三が死去。2004、心筋梗塞により東京 都内港区の病院で死去した。享年93歳。 南桂子年譜 1911 2月12日富山県高岡市に生まれる 女学校在学中より歌や詩をつくり、絵を描く 1928 高岡高等女学校を卒業 終戦後、東京に定住 壷井栄氏について童話を学ぶ 森芳雄氏に油絵を学ぶ 浜口陽三氏に出会い版画の世界を学ぶ 1950 自由美術家協会展JAN(ジュール・アルティスト・ヌヴォ) 日本版画協会展に出品 1953 渡仏、パリに在住(−1982) 1554 フリードランデルの版画研究所に入り、アクア チントを学ぶ 1955 パリ・アンデパンダン展出品 (版画作品がパリ市買上げ) フリードランデル研究所をやめる 1957 NY近代美術館で、版画作品「羊飼いの少女」がクリ スマスカードとなる 1958 版画作品「平和の木」が、ユニセフのクリスマス カードとなる 1960 東京で個展 「フリードランデル・浜口陽三・南桂子展」出品 (神奈川県立近代美術館) 1965 リュブリアナ国際版画ビエンナーレ展出品 1972 「ヨーロッパの日本作家展」出品 (京都国立近代美術館) 1982 サンフランシスコに移住 1990 「南桂子展」(高岡市立美術館) 1996 帰国 2003 「浜口陽三・南桂子展」(練馬区立美術館) 2004 12月1日逝去 2005 「南桂子 追悼展」 (ミュゼ浜口陽三・ヤマサコレクション) 展覧会 個展・二人展 1960「南ケイ子展」日動画廊 1961「フリードランデル・浜口陽三・南桂子版画展」 神奈川県立近代美術館 1990 「南桂子展 銅版画にみるメルヘンの世界」 高岡市美術館 2001 「南桂子・宮脇愛子展」高岡市美術館 2003 「鳥と樹と少女 銅版詩の世界」 「浜口陽三・南桂子 詩との出会い」練馬区立美術館 2005 ミュゼ浜口陽三・ヤマサコレクション 南桂子追悼展 2011-2012 「生誕100 南桂子展」 京都・高岡・吉祥寺・佐倉・館林を巡回 1957 「第1回東京国際版画ビエンナーレ」読売会館 1966の第5回まで毎回出品している。 1957 「第2回リュブリャナ国際版画ビエンナーレ」 リュブリャナ近代美術館1959第3回、1965第6回 1959 「第27回日本版画協会展」東京都美術館 1964第32回、1965第33回、1966第34回、1982第50回 1961 「第6回日本国際美術展」東京都美術館 1963の第7回、1965の第8回、1967の第9回 1961 「現代日本版画展」京都市美術館 1964 「戦後の現代日本美術展」神奈川県立近代美術館 1965 「在外日本作家展ヨーロッパとアメリカ」 東京国立近代美術館 1966 「明治から現代まで 版画100展」 大阪中ノ島朝日ビル・文化ホール 1967 「近代日本の版画」東京国立近代美術館 1971 「戦後美術のクロニクル展」神奈川県立近代美術館 1972-1973「ヨーロッパの日本作家」 京都国立近代美術館・東京国立近代美術館 1973 「近代日本の版画展」栃木県立美術館 1974 「近代日本の版画展」奈良県立美術館 1983 「変容するイメージ 20世紀の日本版画」 セントルイス美術館など 1985 「現代日本美術の展望グラフィックアート&デザイン展」 富山県立近代美術館 1985 「現代版画の軌跡展」福島県立美術館 1988 「現代日本の版画1950-1980」神奈川県立近代美術館 1992 「10人の銅版画家展」神奈川県立近代美術館 所蔵 「平和の木」(1958)東京国立近代美術館 「雨の中の二人の女の子」(1964)東京国立近代美術館 所蔵 「 樹」(1970)京都国立近代美術館 所蔵 作品集 『限定版南桂子の世界 空・鳥・水…』美術出版社 1973 『南桂子全版画作品集』中央公論美術出版 1997 『ボヌール 南桂子作品集』リトルモア 2006 『船の旅: 詩と童話と銅版画 南桂子の世界』筑摩書房、2014 『銅版画家 南桂子: メルヘンの小さな王国へ』平凡社、2016 |