ホーム > 現代美術作家 > タピエス >  タピエス略歴

アントニ タピエス

Antoni Tapies(1923-2012)


スペインの現代芸術家。20世紀の現代美術の巨匠の一人
と言われている。
 油絵具にワラや砂、大理石の粉などを混ぜて、キャン
バスに厚く壁のように塗りこめていく。
素材の質感はカタロニアの風土を思わせ、鮮烈な色彩が
スペインの血を思わせる。カタロニアの熱い風土が生ん
だ画家といえる。
1923バルセロナに生まれ、父を継ぐべく法律を学ぶが、
画家を志望してスペイン市民戦争のさなか絵画を独修す
る。
1950年に初めての個展をバルセロナで開催、初の個展で
奨学金を得てパリに滞在以後パリに居を移す。
タピエスは、初期の頃はパウル・クレーなどに影響を受
けたシュルレアリスムの画家としてキャリアを始めたが
、その後すぐ抽象表現主義に進み、美術用画材ではないも
のを利用した芸術である「アルテポーヴェラ(Arte Pov
era)」スタイルで創作活動を行う。

1953年にはミックス・メディアでの創作を開始、後に、
これが彼の芸術への最大の貢献と評価される。
このスタイルの一つの例は、粘土と大理石粉を絵具に混
ぜ、廃紙、糸、絨毯などを使用している(灰色と緑の絵
(Grey and Green Painting・1957)ロンドン・テート・
ギャラリー収蔵)。
国際的な評価は1950年末までに定着し、1960年代初期ま
ではエンリケ・タバラ、アントニオ・サウラ、マノロ・
ミラレスや他のスペイン人アンフォルメル派の芸術家と
作業した。

日本文化にも精通しており、禅、俳句、書道の本を愛読し、
座右の書は岡倉天心の「茶の本」であり、「精神と物質を
わけず、宇宙的な広がりを捉える見方が私の考え方と一
致します」という。
滝口修三と詩画集「物質のまなざし」(1975)も製作して
いる。

1970年代にはポップアートの影響を受け、家具の破片な
どのもっと大きな物体を絵画にくわえるようになってき
た。タピエスのアイデアは世界中の芸術、特に絵画、彫刻
、版画の分野などに大きな影響を及ぼした。世界中の様
々な美術館に彼の作品が収蔵されている。
1990年、高松宮殿下記念世界文化賞を受賞する。
スペイン・バルセロナには彼の作品を集めて展示してい
る「タピエス美術館(Fundacio Antoni Tapies)」がある。

タピエス年譜

1923 12月23日スペイン・バルセロナ生まれる

1943 弁護士の父のすすめでバルセロナ大学で法律を学ぶが、
   46年法律を放棄し画家に転向

1948 シュルレアリストの批評家や画家達と「ダウアルセット
   (サイコロの第7の目)」を結成
   ファンミロと出会う

1950 初個展をバルセロナで開催
   フランス政府の給費でパリに留学、新しい美術の
   動向「アンフォルメル(不定形)」と出会う

1952 ベネチア・ビエンナーレに招待され世界的な注目
   を集める

1953 粘土と大理石粉を絵具に混ぜ、廃紙、糸、絨毯等を
   使用しているミックス・メディアでの創作を開始

1955 第3回エスパノアメリカ・ビエンナーレでコロン
   ビア共和国賞を受賞(バルセロナ)

1957 灰色と緑の絵(Grey and Green Painting)
   (ロンドン・テート・ギャラリー収蔵)

1958 第28回ベネチアビエンナーレ・デービッド・E.
   ブライト基金賞、ユネスコ賞受賞、ピッツバーグ
   のカーネギー協会より最優秀賞を受賞

1960 サンパウロ・ビエンナーレ・グランプリ
   第2回東京国際版画ビエンナーレ展外務大臣賞
   1960初期まではエンリケ・タバラ、アントニオ・
   サウラ、マノロ・ミラレスらのスペイン人アンフ
   ォルメル派の芸術家として制作

1966 マントン・ビエンナーレでフランス政府大統領賞
   受賞
   第15回国際美術評論家会議より金賞受賞

1970年代にはポップアートの影響を受け、家具の破片な
   どのもっと大きな物体を絵画に加える様になる

1975 詩人の瀧口修造と詩画集「物質のまなざし」を共作

1979 バルセロナ市民賞受賞
   ベルリン美術アカデミーの名誉会員に推挙

1981 ロンドンのロイヤル・カレッジ・オブ・アートより
   名誉博士号の学位を授与される

1984 バルセロナにアントニタピエス財団が設立される
   スペインの国際連合協会より平和賞を受賞

1988 バルセロナ大学より名誉博士の学位が授与される

1990 日本美術協会より第2回高松宮殿下記念平和文化
   賞絵画部門を受賞

1992 セビーリャ万博でカタニャール館のために巨大壁
   画制作

1993 第45回ベネチアビエンナーレ絵画部門金獅子賞
   受賞

1996 日本で回顧展開催
   丸亀市猪熊弦一郎現代美術館、新潟美術館
   群馬県立近代美術館、キリンアートスペース原宿で開催

2012 2月6日逝去 享年88歳
タピエス画面に戻る