小杉小二郎
小杉小二郎は、長きにわたるフランス滞在を経て独自の画風を
築いた、日本の画壇において独創的かつ個性豊かな洋画家の一
人です。画家・小杉放菴を祖父に、美術史家の小杉一雄を父に
、工業デザイナーの小杉二郎を叔父に持つ小杉小二郎は、幼い
頃から絵に親しみ、一度はデザインの道へ進みます。24歳の時
に本格的に画家を志し画家・中川一政に師事。師に伴ってフラ
ンスへ旅行後、同年、単身にて渡仏しました。
現地の風土に馴染みながら、身近にある花や人形や水差し、骨董
品などをモチーフにした静物画、パリの街角、駅や空港、運河
などの風景を描いています。その表現は、古びた瓶に生命を吹
き込み、パリの街中を静寂さで包み込む、大人のためのメルヘン
をリリカルに描く小杉小二郎の絵画世界でもあります。
冷たく無機的なものにも、なぜか人の温もりを感じさせる、穏や
かで瀟洒な表現は、日本とフランスの両国において高い評価を
得てきました。
小杉小次郎年譜
1944 2月27日東京都滝野川区にて美術史家小杉一雄の次男とし
て生まれる
1956 東京都新宿区牛込第一中学校入学
1962 工業デザイナーの小杉二郎の影響を受け、日本大学芸術学
部工業デザイン科に進学
1966 叔父小杉二郎のデザイン事務所に通い、車の製作のため横浜
マツダに通う
加賀豊彦に傾倒し、目白教会で洗礼を受ける
1968 再び画家を志し、油彩画の制作を始める
中川一政の知遇を得て、永福町のアトリエに通う
1970 中川一政に随い渡仏
ブルターニュのコンカルノの村外れに一軒家を借りて制作し
ていた
長谷川潔の知遇を得る
一時帰国
冬に再び渡仏してグラン・ド・シュミエールに研究所に通う
1971 サロン・ドートンヌに[静物]を出品(以後毎年出品)
フランス上院議員における青年画家特別選抜展にサロン・ド
ートヌより推奨
フランス文化庁買い上げ
1974 銀座・彩壷堂にて初個展開催
[三本の瓶][2つの瓶の静物][アコーディオンとパイプ]等20余点を
出品
1975 第18代安井賞展に[僧院の窓の静物]が入選
サロン・デ・アルティスト・フランセに[静物]が銅賞受賞
第14回国際形象展に[マネキンのある静物]招待出品
(以後毎年出品)
サロン・ボザール展受賞
1976 東京セントラル美術館にて個展開催
[P氏の室内][太鼓と瓶の静物][コンカルノの浜辺]等40余点を
出品
パリから45キロ離れたサンレミの農家をアトリエにする
1978 東京セントラルアネックス、名古屋・丸栄にて個展開催
[窓辺のヴィオロン][サンレミ野花][卓上の静物]等50余点を出品
1980 東京セントラル・アネックスにて個展開催
[屋根裏のアルルカン][窓辺の椅子][ジャコブのアンティック]
など50余点を出品
1981 東京セントラル美術館油絵大賞展で[帽子とドミノ]が佳作賞を
受賞
サロン・デ・ボザールに[静物]出品、フラマン賞を受賞
1982 東京セントラル絵画館、名古屋丸栄にて、個展開催
[人形のあるオブジェ][窓辺のアルルカン[ジャコブ通り]など40余点
を出品
日本テレビ「美の美」に出演
1984 第1回日本青年画家展で[卓上の一人芝居]が優秀賞受賞
1986 第3回日本青年画家展で[卓上の一人芝居]が優秀賞受賞
講談社より「静物画技法シリーズ」刊行
東京セントラル絵画館、名古屋・丸栄にて、個展開催
[少年の部屋][静物巴里祭前夜'86][卓上のバイオリン]など30余
点を出品
求龍堂より「小杉小二郎画集」刊行
1987 第9回秀作美術展に[巴里祭前夜]出品
朝日新聞社連載小説。三浦朱門「ささやかな不仕合わせ」のさし
絵を半年担当
求龍堂よりデッサン集「ささやかな不仕合わせ」刊行
日本橋・三越でデッサン展(朝日新聞社主催)を開催
1988 東京セントラル絵画館、大阪・梅田近代美術館にて個展を開催
第31回安井賞展に[巴里祭前夜]を出品賞候補となる
(西武美術館)
フランスと日本をつなぐグループ展「巴東会」を結成
1989 前田寛治大賞展(倉吉市立美術館)で[回想A]が佳作賞を受賞
リトグラフ「巴里の花と果物」刊行
テレビ朝日「美に生きる」に出演
東京梅田画廊で個展を開催
1990 現美展(東京美術倶楽部)に[壜と静物]を出品
国際花と緑の博覧会に[サン・レミの野の花]出品
伊豆高原に小堀酒造の好意でアトリエを建設
庭にフランスと同じ植物ダリア,三色すみれ,リラ,ミモザ等を植る
1991 有楽町アートフォーラムにて小杉小二郎展を開催
(朝日新聞社主催)
静岡・西武、名古屋・松坂屋美術館巡回
求龍堂より画集「小杉小二郎」刊行
1992 「タカシマヤ文化基金」第2回新鋭作家奨励賞受賞
「日経ポケットギャラリー小杉小二郎」刊行
(日本経済新聞社)
1993 八象会(日本橋三越)に参加
小林画廊にてコラージュによる作品展を開催
1994 中島千波・小杉小二郎二人展 (東京・名古屋松坂屋)
秀作美術展に[回想]を出品
ニューヨークに滞在し、カレンダーを制作
1995 ほおづえ会(脇田和、宮崎進、住吉弘人、鈴木治雄、沼田早苗)に
立体を出品
1996 NHK教育「連画-アトリエを飛び出した画家たち」が放送される
彌生画廊にて個展を開催
1997 相模屋美術店にて森田りえ子・小杉小二郎二人展開催
彌生画廊にてコラージュ展を開催
NHK「土曜日の朝−パリ・郷愁の風景」に出演
1998 父・一雄(早稲田大学名誉教授)が急性肺炎のため死去
東美特別展・彌生画廊にて岩彩展を開催
1999 NHK「新・日曜美術館−セザンヌを訪ねて」に出演
彌生画廊にて個展を開催
西武高輪会にて個展を開催
2000 フランス、サン・レミのアトリエを立ち退く
日本経済新聞社連載小説「発熱」のさし絵を担当
2001 「銀座百景」の表紙絵を脇田和に代わって担当
東美特別展・彌生画廊にて聖書物語展を開催
NHKラジオ「素敵なあなた」に出演
2002 致道博物館にて「小杉小二郎の世界展」を開催
2003 週刊朝日の堺谷太一エッセイ「時の正夢」挿絵描く
東美アートフェアにて版画集「聖書物語」展を開催
2004 パリのアトリエを12区に移転
東美特別展にて「小杉小二郎展-聖書物語」を開催
2005 日本経済新聞社より「小杉小二郎作品集」が刊行
アートフェア東京にて新作展を開催
「巴里穏やかに時は流れ小杉小二郎展」を開催
(日経新聞社主催、東京・名古屋・京都を巡回)
2006 [月・追憶]が第29回損保ジャパン東郷青児美術館大賞を受賞
東美アートフェアーにて「小杉小二郎展[絵のない絵本]の世界」を開催
小杉放菴記念日光美術館、諏訪市美術館、小川美術
館にて小杉小二郎展を巡回
2007 東美特別展にて「小杉小二郎−聖書物語−」を開催
近鉄百貨店七十周年記念として「小杉小二郎展」開催
2008 小川美術館にて「小杉小二郎展」を開催
損保ジャパン東郷青児美術館大賞受賞記念小杉小二郎
展−巴里・漂う時の流れ開催
大丸札幌画廊オープニング記念、小杉小二郎展
2009 虹の会(日本橋三越本店)
2010 横須賀美術館「ワンダーシニア30」
「21世紀展」(東京美術倶楽部)
小杉小二郎コラージュ・立体展(フジヰ画廊)
家族
祖父 - 小杉放庵(日本画家)
父 - 小杉一雄(美術史学者)
叔父 - 小杉二郎(工業デザイナー)
書籍
1982「小杉小二郎画集」
2003「巴里ゆらゆら」
2005「小杉小二郎作品集」 |